一般的に普及している「慣行農法」は、農薬を使用して作物の病気・虫食いを抑制したり、化学肥料で成長を促したりします。対して、より安全性の高い作物を作るために生まれた農法が、農薬や化学肥料を使用しない「自然農法」や、認められた有機資材を使用する「有機農法(有機栽培)」なのです。
戦後 高度成長期から現在に至るまで新しい「農薬」が多く開発され、それらを有効に使うことによって農作物の収穫は飛躍的に伸びてきました。この農法を「慣行農法」というのです。ところが「慣行農法」は、温室効果ガスの排出量増加、土壌浸食、水質汚染を引き起こし、そして人間の健康を脅かすことがわかってきました。(Wikipedia;BioNatura&co )
「農薬」とは、農業の効率化、あるいは農作物の保存に使用される薬剤の総称。殺菌剤、防黴剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、植物成長調整剤等をいう(日本の農薬取締法等では、稲作で使うアイガモなどの生物も、害虫を駆除することから特定農薬として指定されている ) ウィキペディア
「農薬の役割とその必要性」を考えるために、さまざまな農作物を対象に、もし農薬を使わなかったら、どれだけ収穫率が下がるかという調査が行われています。その農作物に対する地域的な条件や、発生する病害虫の違いなどがあり、一概にはいえませんが、基本的には長い生育期間を要する農作物は、やはり病害虫による被害を受けやすいといえるでしょう。
歴史的に有名な国内外の飢饉の原因が、害虫や作物の病気の 大発生であったこともあります。一般的に農薬を使わないと病 害虫や雑草によって、たとえば米の出荷金額なら 20 ~ 40%、桃は 80%減、りんごでは壊滅状態になるという調査報告があり、 農薬なしで、現在の生産レベルを維持するのはむずかしいこと がわかります。(Wikipedia;農薬工業会)
実証試験に基づく病害虫などによる減収・減益
農作物 | 調査事例数 | 減収率(%) | 出荷金額の減益率(%) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
最大値 | 最小値 | 平均値 | 最大値 | 最小値 | 平均値 | ||
水稲 | 14 | 100 | 0 | 24 | 100 | 5 | 30 |
小麦 | 4 | 56 | 18 | 36 | 93 | 18 | 66 |
大豆 | 8 | 49 | 7 | 30 | 63 | 18 | 34 |
りんご | 8 | 100 | 90 | 97 | 100 | 95 | 99 |
もも | 4 | 100 | 37 | 70 | 100 | 48 | 80 |
キャベツ | 20 | 100 | 10 | 67 | 100 | 18 | 69 |
きゅうり | 5 | 88 | 11 | 61 | 86 | 11 | 60 |
トマト | 7 | 93 | 14 | 36 | 92 | 13 | 37 |
だいこん | 12 | 100 | 4 | 39 | 100 | 18 | 60 |
数値は1990~2006年の試験結果のまとめ 藤田俊一:シンポジウム「病害虫と雑草による影響を考える」講演要旨 (社)日本植物防疫協会(2007年9月
「残留農薬」とは、食物に残った農薬のことです。
農薬等により健康を損なうおそれがないよう、次のような方法で、農薬等の残留基準を設定しています。(厚生労働省)
農薬等の安全性は、物質の分析結果、動物を用いた毒性試験結果等の科学的なデータに基づき、リスク評価機関である食品安全委員会が、食品健康影響 評価(リスク評価)を行います。具体的には、各農薬等ごとに、健康への悪影響がないとされる「一日許容摂取量」(ADI)が設定されます。
また、「残留基準」と深い関係にあるのが、「使用基準」です。ある農作物に使って良いと登録された農薬を、どのくらいの量で、どの時期に、どのような方法で、何回までは撒(ま)いて良いなどと決めたものが「使用基準」です。この使用基準に違反しなければ、残留基準を超えるような農作物は出来ません。つまり、生産者が使用基準をもとに適正に農薬を使ってくだされば、不安になるような残留性の問題はないのです。 ただ、各国では日本のものとは異なる残留基準などが設定されています。それでは、外国産野菜は危険かというと、そうではなく、日本に輸入される場合には、日本の残留基準をクリアしなければなりません。たとえば中国産やオーストラリア産も、日本産と同じ残留基準を満たすことが要件ですから、要件を満たしていれば同じように安全だといえるのです。
農薬に対して、外国産野菜の残留農薬が恐いとか、発がんの原因になるとか、間違ったイメージを抱いていらっしゃる方が依然として多いようです。しかし、今までお話ししたように、農薬には、徹底的に安全性を追求した厳しい規制が設けられています。
みなさんがお店へ行かれた時に、店頭に野菜が豊富にあり、虫食いではない、きれいな野菜を選べることを考えてくだされば、農薬の必要性、有用性への理解も深めていただけるのではないかと思います。(wikipedia ; 厚生労働省)
一般的に普及している「慣行農法」は、農薬を使用して作物の病気・虫食いを抑制したり、化学肥料で成長を促したりします。対して、より安全性の高い作物を作るために生まれた農法が、農薬や化学肥料を使用しない「自然農法」や、認められた有機資材を使用する「有機農法(有機栽培)」なのです。
「有機農法」と「慣行農法」の本質的な違いは、「慣行農法」は、植物を害虫から守ったりや雑草を防ぎ、植物に栄養を与えるために農薬(化学物質)の介入に頼っているということです。 ... 一方、「有機農法」は、収穫率は度外視?して健康的な豊富な食料を生産するために、生物多様性や堆肥化などの自然の原則に依存しています。
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日本の農作物の総生産量における「有機農法(有機栽培)」が占める割合は、今はまだ全体の0.17%程度です。日本の農業生産として、食糧の安定供給という観点から見ると有機栽培だけでは難しい状況です。したがって、農薬の特性を十分理解し、病害虫や雑草などの防除技術としていかに上手に組み込んでいくかが、重要なポイントだと思います。
有機農産物の格付数量の国内総生産量に占める割合(平成18年度)
区分 | (%) |
---|---|
野菜 | 0.19 |
果樹 | 0.05 |
米 | 0.13 |
麦 | 0.06 |
大豆 | 0.43 |
緑茶(あら茶) | 1.68 |
その他の農産物 | 2.17 |
全体平均 | 0.17 |
農林水産省生産局農業環境対策課
平成20年8月「有機農薬の推進について」より
これは前回にも記載したが、グローバル・オーガニック・トレード・ガイドによると「有機栽培」の農産物が、日本の農産物の売上高に占める割合は1.5%で、アメリカ(5.5%)、フランス(7.7%)、ドイツ(10.4%)と比べるとわずかだ。また、有機市場規模(約5.9億ドル)は世界13位で、1人当たりの有機食品購入額(約4.7ドル)は23位と振るわない。購入額で見ると、アメリカ人は日本人の15倍、フランス人は13倍、スイス人に至っては34倍に上る。( Wikipedia;OPTIM「スマート農業アライアンス」)
「オーガニック野菜」が日本の一般市場に出回るには、現在の「農林労働者」「農協」「商社」等の旧システムを見直す必要があります。