このテーマは、1ヶ月前の本ブログ 12月22日「日本のワクチン開発の現状」の続編になります。
下記資料は全て WEB(Google)から抜粋した内容です。長くなって申し訳ないが、中々興味ある資料だと思います。
「コロナワクチン」日本が圧倒的に出遅れる事情
国家が民間に丸投げしたツケ、海外頼みの悲哀
かつて日本はワクチン開発の最前線に立っていた。「日本近代医学の父」とたたえられる北里柴三郎は、破傷風菌の培養に成功し、血清療法を確立。この研究からさまざまなワクチン開発につながった。1934年に大阪大学の敷地内に設置された現・BIKENグループは世界で初めての水痘ワクチンの開発に成功。東西で日本のワクチン界をリードしてきた。(写真は、北里 柴三郎、日本の医学者・細菌学者・教育者・実業家。「日本の細菌学の父」として知られ、ペスト菌を発見し、また破傷風の治療法を開発するなど感染症医学の発展に貢献した。 貴族院議員を務め、位階勲等は従二位・勲一等・男爵。 ウィキペディア、tax-help.jp)
ところが、最近はほとんど成果らしきものがない。近年も肺炎球菌ワクチンや子宮頸がんワクチンなど、海外から輸入した「舶来もの」ばかりだ。日本でワクチン産業が落ち込んだ背景には、市場の不確実さがある。とくに難しいのが副反応問題だ。
副反応はワクチン接種によって引き起こされる発熱や発疹などの生体反応で、ごくまれに重篤化する場合もある。ワクチンの歴史を振り返れば、患者に一定程度起きる副反応と、国全体の公衆衛生上のメリットとの綱引きがあった。副反応問題ばかり気にしてしまうと、ワクチンメーカーは開発に消極的になる。巨額の開発費を投じても、ひとたび副反応が起きれば、売上げは見込めなくなってしまう。「本当に定期接種に組み込まれるのか」「副反応のが社会的な理解が得られるのか」などメーカーはいくつもの変数を想定しなければならない。(右上の写真は「新型コロナウイルス用ワクチンは、日本の今の制度では訴訟問題になるかもー!」diamond.jp )
この状況を国が問題視し始めたのは2000年代のこと。海外で高病原性鳥インフルエンザウイルスが発生し、「新型インフルエンザウイルス」の脅威が日本でも叫ばれるようになったからだ。その頃、日本のワクチンメーカーを見渡せば中小企業や社団か財団法人ばかり。そこで厚生労働省は2006年に「ワクチン産業ビジョン」を策定し、ワクチンメーカーが発展していくための方向性を示した。
形骸化した「産業ビジョン」
産業ビジョンでは、ワクチンメーカーに大手の製薬企業の「一部」として、もしくは製薬企業と「連携」して、事業展開することを求めた。つまり、資金力のある製薬企業の傘下に入り、新しいワクチンを継続的に発売し、安定的に収益を得ることで「スパイラル発展させる」との目論見だ。これによって未知の感染症にも対応できる産業育成が狙いだったが、厚労省が主導していくというより、製薬企業に丸投げしたともいえる内容だった。
産業ビジョンの効果もあってか、その後、大手の製薬企業がワクチンメーカーと連携するようになる。第一三共は北里研究所、アステラス製薬は国内ベンチャーのUMNファーマ、大日本住友製薬は日本ビーシージー製造と手を組んだ。しかしながら、いずれの企業もうまくいかず、最終的に提携を解消することになる。(右上の写真は、2021年 北里研究所医学館、本館、tripadvisor.jp)
ワクチン研究の歴史が長い北里大学は、ワクチンよりも治療薬の開発を優先している。北里生命科学研究所感染制御研究センターの花木秀明センター長は理由をこう明かす。
「ワクチン開発には時間がかかる。北里はワクチンのことを知っているからこその判断。まずは治療薬を開発し、時間的余裕ができたうえで、第2段階がワクチンになる」
そもそもこの非常事態の中、既存のワクチンの生産を止めるわけにもいかない。余裕のないなかで、新たなワクチンの開発に着手するのは難しい。産業ビジョンで描かれていた「スパイラル発展」どころか、悪循環に陥っているのが日本のワクチン産業の現状だ。(以上 長谷川 友恵 : 医薬経済社 記者、toyokeizai.net)
ワクチン開発は、軍事に関係する?だから、米国・ロシア・中国は対応が早いのだ!
「なぜ日本がワクチン開発に遅れたのか」という質問をいろいろなところで受けます。本当の答えを言うとみんな嫌がるのでしょうが、それは「基礎研究が軍事に関係するから」ということです。ABC兵器と言って、アトミック・バイオロジカル・ケミカルでしょう。バイオロジカルのなかでも、ワクチンは防備するには最高の手段です。軍隊のなかに感染症が増えたとき、早く対処しなくてはなりませんから。(数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一、2020,12/23、日本放送、右上の写真は、news.yahoo.co.jp)
日本発ワクチンが商機を逃した必然
日本のワクチンメーカーは、国内製薬会社で最大手の武田薬品工業を除き、第III相試験を満足に実施したことがない。つまり、国内ワクチンの第III相試験では、「疾患の発生頻度が非常に低い場合」などは「抗体価」の上昇をクリア基準(エンドポイント)とすることが認められているが、これは海外では第II相試験に相当する。数百人程度の被験者にワクチンを接種し、2~4週間後に採血するだけなので、短時間かつ安価に実施できる。「抗体価が上昇するのだから、感染を防げるはず」という前提だが、実際どの程度の発病予防効果があるのかは分からない。「右上の写真は、9月16日、中国は新型コロナウイルスのワクチン開発で、臨床試験(治験)が完了していない段階で市民数万人に緊急接種する方法を採用している。写真はカンシノ・バイオロジクスなどが開発中のワクチン。武漢で3月撮影。(2020年 ロイター/China Daily)、r.nikkei.com」
これでは国際競争力どころの話ではない。かつて世界有数とも言われた日本のワクチン産業は、今や見る影もない。日本は、欧米に比べて流行の始まりが早かった。単純に考えて、ワクチン開発に早めに着手すれば、世界に向け日本発のワクチンを実現できたかもしれない。
だが現実には、一部国内メーカーの奮闘を尻目に、欧米の製薬会社の大口顧客とならざるを得ない状況だ。ピンチをチャンスにできたはずが、その機会を逸してしまった。それどころか、かねて問題視されてきた医薬品や医療機器の大幅な輸入超過を、いっそう悪化させることとなった。
国内メーカーは、長らく開発競争から保護されてきた。いわゆる「護送船団方式」である。厚生労働省は、既存のワクチンメーカーに補助金を出し開発させる一方で、海外製のワクチンの承認には積極的ではなかった。顕著な例は、防げたはずの生ワクチン由来ポリオの発生だ。世界的には2000年から不活化ワクチンが標準化されていたが、日本は国産にこだわった結果、2012年9月の不活化ワクチン定期接種化までに麻痺(まひ)患者が多数生じた。(右上の図は「日本が米国・中国よりAI論文如何に少ないか!nikkei.com)
日本はワクチン後進国でありこそすれ、世界へのワクチン供給国としての国際競争力は皆無だ。(以上 esquire.com一部省略)
次回は、ワクチン接種率が一番高かった「イスラエル」、この国を分析してみます。