どういう訳か？私の海外の「ビジネスパートナー」は といっても「韓国」と「タイランド」ですが、二人共 億万長者になったようだ。
私のビジネスは、大手メーカーが自社の新商品を開発するのに必要かつ不可欠な材料を考え、製造・販売することです。「自動車」「家電」「スポーツ用品」「玩具」等が対象ですが、中でも商品価値の高い「自動車」や「家電関係」が主なユーザーです。多量生産ではなく少量生産ないし受注生産で大手企業が出来ない零細企業の仕事です。新製品の試作品を如何に早く、正確に、安く作るか！に協力する工業材料でかなり付加価値の高いものでした。それは発展途上国にとっても新鮮な業界・産業なのです。
「韓国のビジネスパートナー」
韓国人Kとの付き合いは、私が起業する前からで約35年になります。その頃の彼は漢江に近い麻浦の下町の小屋で弟とお母さんの3人で補修剤ポリパテを製造していました。得意先の社長からKへの技術援助を依頼されたのがきっかけです。Kは自称広州大学（文化系）の出身で全てに貪欲に取り組み、私のアドバイスをよく聞いたし、酒は下戸なのにカラオケ大好き人間で夜の遊びも一流、接待も手際よく、韓国自動車業界の発展とともに彼の会社は急激に伸びました。金浦空港に近い田舎に約2000坪の土地を購入、自前の事務所・工場を完成させたのは、知り合って約５年目です。私が私の友人を介して米国の自動車業界を視察するにも彼を誘いました。又 台湾のバイク・家電関係の視察にも同行させたことがあり、タイランドにも連れて行きました。彼のビジネスが順調に伸びると韓国特有の現象である身内がどんどん会社に入ってきました。彼の奥さんの兄と弟・彼の弟の奥さんの弟等です。現代自動車の最高級車「グレンジャー」、更に「ベンツ」までも購入するほどに成功しました。
その後 以前は頻繁に来日してた彼が日本に来なくなりました。その件をそれとなく聞いてみると「日本からもう得るモノが無くなった！」と、大変残念な考え方で彼らの国民性かもーー！
又 彼は不動産投資に野心を持ち、麻浦の古い高層団地の数戸を安く入手、弟家族やお母さんを住まわせ、又 空き室は倉庫がわりにしてた。それが直ぐ建て替えになり、大金を掴み？団地の理事にもなり、隣の幼稚園をも買収した（これらは全て市職員の内部情報による？）。私の知る限り彼は４回の高層団地の部屋を買い替えで、現在 汝矣島地区の国会議事堂が見える高層建築物の100坪の超高級マンションに住んでいるのです。
約20年前になりますが私どもの業界に大変革が起こりました。光造形システム（ラピッドプロットタイピング）が実用化されたのです。今までの試作品は、デッサン？でデザインされた商品のマスターモデルを作り、反転したりして複数の型やモデルが必要としたが、数値化された商品形状が、その装置にて無人の状態で何時間後に試作品として出来あがるようになったのです。現在はパテントが切れ、安価な装置になり、医学や雑貨類に頻繁に使われているようですが、当時は大きさ・工法にもよるが、何千万〜億円の装置でした。
私は自分のビジネスに危機感を持ち、米国に強い友人に頼み米国の同業者の業界を軒並みに調べることにしました。自社と組める企業を求めたのです。日本は最先端の技術もありますが全体に於いてやはり後追いなのです。しかし この業界の米国企業の行動には驚かされました！渡米中に私が狙ってた中堅企業二社はそれぞれM&Aが進み、別のグループの傘下になってしまいました。
その後直ぐに、コンピューターにて三次元のバーチャル化が進展し、スクリーン画面上で全てのやりとり（三次元形状にて製品の不具合など）ができるようになり試作品自体が不要になりました。
1999年 自動車生産の最大手のT社は、「試作レス・モデルレスのシステム」を大衆車で立ち上げ、成功させたのです。私の会社の主要製品は試作用材料であり、モデル用材料なので全くのお手上げです。以後当社の業界は仕事量が激減、廃業する企業も出て無理な設備投資した企業は大体倒産しました。
丁度 その頃ですか、韓国のKの材料が日本に入ってきて名古屋の私のユーザーが使い出しました。将来に不安を感じてた私には大ショックでした。すぐKを呼んだが、のらりくらりと誤魔化すのだ。彼との取引の停止・断絶を通告したのだ。又 韓国市場は以前からの知人の会社を新しい代理店に起用しました。
昔からの事情を知ってる新規代理店の社長は、「彼の資産（約50億ウオン？）の２割位は貴方のモンでしょう！」と言うが、私はそうは思いません。私の協力でビジネスが好調に伸びたのは事実ですが、そのことより彼は不動産で財をなしたのです。裏情報をうまく利用し、麻浦や汝矣島の高層団地の複数の部屋の権利を何度も買い替え資産を増やしたのです。
私はその後、会社経営に嫌気が指して、仏国の某社とのM&Kに進みました。
（終わり）
